この前の千葉先生の文章をもう少し、かみ砕いてわかりやすく書いてみたいと思います。
誘導自己暗示(単に自己暗示でもいい)がどうして病気を治すのに有効なのか?という話です。
我々1人1人が喋るとき、言葉を発しますよね。それはそのまま、自分の考えですよね。
人間は自分の考えていないことを喋る人はいませんからね。
また、人間は自分の考えを喋ったり、頭に浮かべたりしますよね。自分が他人の考えを喋ることはしませんよね。
そう考えていくと、考え=言葉、となり、言葉=考え、ということになります。
と、するとその人の考え方は、その人にものすごく大きな影響を与えることになると思うのです。
私は外来で患者さんと話をしていて思うのですが、病気がなかなか治らない人、また病気をよく繰り返す人って、何か考え方が否定的(マイナス思考)なんですよね。喋る言葉を聞いているとよくわかります。
「病気を引きずっちゃって」「病気持ちなんです。」「病気に取り憑かれてしまって。」「病気が全然治らないんです。」「ずーっと出来たり治ったりしているんです。」「季節の変わり目になると必ずできてくるんです。」
普通に聞いていると、こちらの気持ちまで暗くなってくるような感じがします。
何故、「今は、たまたま、ちょっと病気が治りにくい状態になっているだけなんだ。」というふうに、考えられないんでしょうか?
何かよくわからない理由があって「今は、たまたま」なんだと。
でも、こういうふうに考えられないから、病気が治らないんだ、とも言えます。
そこで「誘導自己暗示」の出番なのです。
「今は、たまたま」病気になっているけれども、そのうちに病気は治っていくのです。という言葉をその人の頭の中に自然に入れていこうという事なのです。
「治っていく」という言葉はその人にとって好都合なので、自然に頭に入って行くのは道理です。
誰でも病気でない健康であることが、その人の本来の姿なのですから。
「病気が良くならない。」とか「病気が治らない。」と考える必要は全くないのです。
1つ例を挙げて、説明したいと思います。
「スギ花粉症」という病気があります。
私は、この病気は「スギ花粉」が原因であるとは考えておりません。
もちろん、私も多くの患者さんを診察しておりますので、「スギ花粉」が飛ぶ2月から4月ごろに症状が出る患者さんが多いことは知っております。
それでも、原因は「スギ花粉」ではないと言うのです。何故だと思いますか?
あなたの近辺に、一昨年まで「スギ花粉症」に悩まされていたのに、何故か去年は全く症状が出なかったと言う人はいませんでしょうか?
また、今までは「スギ花粉症」になってなかったのに、去年は酷かった、という人はいませんでしょうか? 恐らく、少しはいるのではないでしょうか?
このことは「スギ花粉」が原因だとしたら、説明がつかないでしょう。
だって、「スギ花粉」が、飛ばない年はないのですから。ね?
原因は、その人の身体の中にあるんだ、と考えなければ説明がつきません。
私は「スギ花粉症」が治らなくなってしまうのも、恐らくこのマイナスの暗示効果によるものだと考えています。
いつもいつもこれで悩まされている人は殆ど、そうだと思いますが。「また、来シーズンも花粉症で悩まされるんだろう。」と考えて、想像しているからに過ぎないんだろうと思っています。
私の考え方が正しいか、間違っているかどうかは、今、私がやっている「誘導自己暗示」療法の効果を見てから、判断したいと思っています。
いずれにしても、医学的(大脳生理学)的見地から見て、この方法は非常に理にかなった方法であるとは、私自身強く信じています。