「心」と「身体」の関係

 

あなたは、人間の心とからだは一体だと思いますか?それとも、別々のものだと思いますか?


17世紀、デカルトという哲学者は、人間の心とからだは、それぞれが実体であるとして、別々の存在であると考えました。


要するに、心とからだは切り離して考えることができる、ということを言ったのです。


この物心二元論が広まるにつれて、いうまでもなく医学の進歩は始まるのです。

 

そして、人間のからだを一つの機械とみなすような思考が盛んになり、実験医学が盛んになっていくのです。


そりゃ、そうでしょう。人間の病気を治そうと考える場合に、「心」なんて、科学では解明できそうにない、はっきりしないものを切り離すことができたのですから。

 

その流れは、現在までの医学の進歩、臓器移植にまで繋がってきているのです。


しかし、皆さん、ちょっと考えてみて下さい。

 

本当に人間の心とからだは別々なんでしょうか?あなたの心とからだは繋がってはいないのでしょうか?

 

こんなことを考えてみてください。

 

目の前に幅10センチ長さ10メートルの厚い鋼鉄の板があるとしましょう。

 

もし、それが地面においてあれば、端から端まで落ちることなく渡れますよね?

 

しかし、それが高いビルの屋上から屋上に渡してあったら、渡れますか?

 

まあ、普通の人なら、怖くて足がすくんで、動けなくて落ちてしまうんではないでしょうか?

 

これは、恐怖心(下を見る)からからだの変化(足がすくむ)が起こるからです。

他にも、悲しいから、涙を流す。(心からからだへ)

・おかしいから、笑う。(心からからだへ)

・胃の調子がおかしくて、いろいろ心配する。(からだから心へ)

・頭が痛くて、気分が重くなる。(からだから心へ)

 

ちょっとあげても、こんなふうに心とからだは繋がっていますよね?


医学の世界というのは、心を切り離して、からだだけで進歩してきた「狭い世界」なのです。

 

ところが、私たちの世界というのは、心とからだを切り離せない「広い世界」なのです。

 

「医者が患者さんを診る」という医療の世界も、「人間が人間を診る」と言う意味で、この「広い世界」の中の出来事として考えるべきではないかと思うのです。

 

そうすると、皮膚病を診たり、ガンを治療する場合にも、心の状態をみて診療するということは大切になってきます。


その人がどういう人生観を持っているか、どういう価値観をもっているか、性格はどんなだとか、毎日が楽しいかどうか、とか、その人の心の状態を探ることは大切なことだ、と思っています。


私が実際に多くの患者さんを診ていて、その人の人生観や価値観の変化がその人の病気を良くしたんだろうなあ、と思う場面に出会うことは少なくありません。

 

私は、「からだの状態が心に影響する」と思うと同時に、「心の状態がからだの病気にどう影響しているんだろうか?」ということを、いつも心がけて診療するようにしています。


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