「病気」というものはイメージの賜物である。
これは、私が30年近くになる皮膚科医としての臨床経験から、最近、強く信じるようになった事である。
以前、病気というものはない、と書いた事がある。そんなものは決して存在しないのである。
しかし、病気を持った、又、病気になっている人間は間違いなく大勢、存在する。これも事実である。
この一見、矛盾した事実をどう考えるか?が問題なのである。
これを解決する決め手になる考え方が「イメージが病気を作る」という考え方なのだ。
「イメージ」というものは、この世に存在はしない。「病気」というものも、この世には存在しない。
しかし「イメージ」も「病気」も共に「人間が造り出すものである。」という共通点があるのである。
毎日、なかなか良くならない患者さんを診察して、話をしていて、強く感じている事がある。
それは、何か病気が良くならないようにしている、改善を妨げている何か?があるのではないか? という事。
こういうふうに考えないと、どうにも納得がいかなくなる。
それは何だろう?という事は、私もずーっと考えていたのである。
患者さんにも質問した事はある。
「何故、あなたの病気はなかなか治らないんだろう、と思いますか?」と。
でも答えは「わかりません」とか、答えをはぐらかされて終わりなのである。
要するに、患者さんも、自分でわかっていないのである。
でも、治らない理由は間違いなくあるはずであり、あるはずなんだ。
いろいろな事を考えているうちに、私はある言葉に行き当たったのである。
それが「自己イメージ」という言葉である。
要するに、病気がなかなか治らない人は「自己イメージが悪い」「自己イメージが低い」のである。
そう考えると、全てが納得できてしまう。
もう少し、具体的に見てみよう。
自分で自分をどう見ているのか?
自分で自分をどう考えているのか?
自分で自分をどう捉えているのか?
自分で自分をどう感じているのか?
この「自己評価」が低いとダメなのである。
幸せになれない。病気が治らない。成績が上がらない。性格が良くならない。のです。
自己イメージを変える事はそんなに難しいことではないのです。病気を治すこともそんなに難しい事ではないのです。
以下にちょっと、その例をあげて見ましょうか?
ここまでしか出来なかった。→→→頑張ったからここまで出来た。
なかなか良くならないなあ。→→→部分的に見ると少しずつ良くなっている所もあるよ。
全く理解できないんだ。→→→少しは理解できた所もあるよ。
また、うまくいかなかった。→→→それでも以前よりはうまくできるようになってきている。
全然、理解してくれないんだ。→→→少しは理解してくれたように思えるよ。
50点しか取れなかったよ。→→→50点も取れたんだよ。
全然、髪の毛が生えてきてないよ。→→→よく見ると、細い毛が少しずつ生えてきているよ。
夜、よく眠れないんだ。→→→その位の睡眠時間で充分って事だろう。
普段は皆さんは、何かと言うと、すぐ「左側」のような発想をしたり、口にしたりしていませんか?
多分、これは習慣もあるんだと思います。
でも、これが全ての不幸の始まりなのではないか?と、私は考えています。
「そんな事で病気が治るはずがないじゃないか?」なんて言わないで、少しずつイメージを変える所から、始めて行こうじゃありませんか。
「嘘も100回言えば、本当になるんです。」私はこう思っています。
それで、幸せになるのなら、いいじゃありませんか?