コンピューターと医学の発展

 

最近のコンピューターの発達には、目を見張るものがある。

 

携帯電話からパソコン、それに高速インターネット、ISDN、光ファイバー、デジタルTVなどと、報道、マスコミを見聞きしていて、何やら一人おいてきぼりを食っているような気持ちになるのは私だけではないであろう。

 

何とか頭だけは追いついていこうとするのだが、何しろ進歩が早すぎて、ついていけないというのが正直なところである。

 

今や通信分野、家庭電化製品に留まらず、あらゆる分野にコンピューターは入り込んできているのである。


それでは医学、医療の分野におけるコンピューターの役割は何か?可能性はどうか?ということについて、以上のことを踏まえて私見を述べてみたいと思う。


*医学研究分野におけるコンピューター


これは医学のあらゆる分野で活躍しているし、これから益々利用されると思う

 

医学は言うまでもなく人間の為にある。

 

人間の動き、運動をコンピューターで分析、解析する事により行われている義手、義足などの開発、手術を人間の替りに行う手術ロボット、重度の不整脈から患者さんを解放する心臓ペースメーカーの開発など、素人の私がちょっと思いつくだけでもこれだけある。

 

それから、医学とは直接関係ないかもしれないが、大勢の患者さんのカルテ、レントゲン写真を管理できる医事システム、診察の場よりカルテをなくし、経費節減が期待される電子カルテの開発も盛んに行われている。


まだまだ、医学研究の場にコンピューターが入り込む余地は沢山ある、というよりも、多くの医学研究者がどうやって今の研究システムにコンピューターを導入しようか、と思案していると言ったほうが当たっているかもしれない。

 

ヒトゲノム(ヒトの遺伝子地図)の解析成功、遺伝子治療の進展など、現在も日進月歩の状態である。


*医療現場のコンピューター


それに引き換え、医療現場のコンピューターは?と言うと、どうであろうか?

 

医療現場とは「一人の医者と一人の患者が出会う現場」という意味である。

 

いろいろと、ない頭を思い巡らせてみるが、あまりコンピューターとの接点が出てこない。

 

せいぜい遠隔地用テレビ電話ぐらいであろうか。

 

しかし、この遠隔地用テレビ電話は、医者同士がデータをやりとりしたり、相談したり、教えをこうたりする場合には便利だと思うが、患者さんを診察する手段としてはどうであろうか?

 

テレビ電話で診察してもらって、本当に患者さんは安心するだろうか?

 

それで薬を処方してもらって、本当に患者さんは安心するだろうか?

 

私は患者さんにとって最大の薬は「安心感」だと思っているのです。

 

私もテレビ電話というシステムそのものは素晴らしいし、すごく便利なものだとは思っていますし、それはわかっているつもりです。

 

しかし、それはあくまでも診療手段としては緊急的、補助的なものにしかならないのではないか?と考えています。

 

私がいちばん言いたいのは「どんな便利なものも素晴らしいシステムも、それを使うのは人間だ」ということです。

 

使う人間によって、テレビ電話システムも素晴らしいものになったり、最悪のものになったりすると思うのです。

 

医療というのは「人間と人間の交わり」だと私は思っていますので、基本的にはコンピューターの入り込む余地はない、と思っています。


しかし、一人の人間、一人の医療人として、このコンピューターという素晴らしく、便利なものを使わない手はないと思っています。

 

その為にも、使う場所、時、状況をしっかりとわきまえて使っていきたいと思っています。


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