「セルフ コントロール」について

 

「セルフ コントロール」とは、「自分で自分のことを制御、コントロールする」という事。


皆さんは自分の手足、身体を動かす事以外には自分で自分をコントロールする事はできないと、思っているでしょう。


30年前に私も医学部で手足についている筋肉は横紋筋といって自分の意志でどうにでも動かせるのだ。

 

内臓の筋肉、汗を出す働きをする筋肉は平滑筋といって自分の意志ではどうにもならない。と、教えられました。


ところが、人間の身体についていろいろな事がわかってくるにつれて主に精神神経免疫学、大脳生理学の進歩によりそうではない、という事がはっきりしてきました。


どういうことか、と言うと、内臓の筋肉(胃や腸の事)も「自分の意志」があるだけではどうしようもないが、やり方によっては「自分の思い通りになる」のである。ということが、わかってきたのです。


自分で自分の汗の出方をコントロールできる。

自分で自分の血圧をコントロールできる。

自分で自分の心臓の鼓動を早くしたり遅くしたりできる。


揚げ句の果てには「自分で自分の病気をコントロールできる」という事がわかってきたのです。


皆さんは「そんな、バカなことが、ーー」と思うかも知れません。

 

病気は医者がコントロールするものだ、ということで医者が自分自身の保身を保ってきた、というのも一面の否定できない事実です。


では、どういう方法を使えば「自分で自分の病気をコントロールできる」ようになるのか?と言いますと一言で言えば「イメージ」を使うのです。


具体的には、催眠誘導療法、自己暗示療法、バイオフィードバック法、自律訓練法行動療法、認知療法などが挙げられます。


すべて、薬物は一切使いません。一部、ちょっとした装置を使うものはありますが。


私もこれらの方法を試したことはあります。なかなかいい効果を出していた、という感触を持っています。


でも、一般の皮膚科の外来の中でこれらをやるのは実際問題ちょっと不可能なのです。


何故なら、一人一人に時間がかかりすぎるから、です。


私はこれらの方法を全ての患者さんに施行することができればもっともっと病気の治癒率が上がるのでは?と密かに思っています。


私は全ての病気の本当の原因は「その人の中(心の中)にある」と考えています。


「心」なんて非科学的な、わけのわからない言葉を使ってごめんなさい。


別な言葉を使えば、「その人の考え方」「その人の生き方」「その人の人生観」みたいな言葉になるでしょうか?


上に挙げた具体的な幾つかの方法は、多かれ少なかれ、その人の「心にアプローチする方法」だと思っています。


これをもっともっと突っ込んで考えていくと宗教の問題まで発展していってしまいます。


いずれにしても現実的には「よく話を聞いてあげ、よく話をしてあげ、一緒に笑い、一緒に考える。」こういう診療がベストなんだろうと思っています。


このやり方で「患者さんの心に何かが伝わってくれればーー」「患者さんの心に何か変化が起こってくれればーー」と、いつも思って診療しています。


「その人の心に変化が起きなければ、その人の病気は治らない。」


この「セルフコントロール」こそ「病気の治療のゴール」なのです。

 

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