本当は、この命題は、すごく難しいんです。
でも、誤解を恐れずに、かつできるだけ正確に話してみたいと思います。
「湿疹」と「皮膚炎」はほぼ基本的に同義語と考えて良いと思います。
(細かいことを言い始めると収拾がつかなくなりますので、敢えて言いません。)
「皮膚炎」とは、皮膚に炎症が起こっている状態を指しますが、化膿している状態、細菌感染を起こしている状態には、皮膚の炎症であっても慣習として、「皮膚炎」という言葉は使いません。
「炎症」とは、原因を問わずに
1.赤いこと。
2.熱をもっていること。
3.腫れていること。
4.痛いこと(痒いこと)。を、言います。
この4項目が揃っていれば、「炎症」と言えるのです。
ちなみに、肺が炎症を起こせば肺炎、肝臓が炎症を起こせば肝炎です。皮膚が炎症を起こした状態が、「皮膚炎」です。
「湿疹」とは、教科書的に言うと
1.点状状態(ボツボツができている)
2.皮疹の多様性(皮がむけていたり、かさかさしていたり、赤くなっていたり、腫れてたり、しみになっていたり、引っかき傷があったり、ジクジクしていたり、いろいろな皮膚の状態がみられる)
3.掻痒(かゆい)この3つが揃っている状態を「湿疹」といいます。
そして、患者さんの年齢、できている場所、皮膚の状態、病気の経過、などにより、いろいろな病名が決められているに過ぎない、のです。
ですから、病名の最後に、「湿疹」とか「皮膚炎」という病名がついたら、「ああ、湿疹なんだ」と思ってもらってまず間違いありません。
定義通りに、正確にいうと「皮膚炎」は「湿疹」を含む。「湿疹」は「皮膚炎」に含まれる。と言うことになります。
アトピー性皮膚炎(あとぴーせいひふえん)
貨幣状湿疹(かへいじょうしっしん)
乾皮症性皮膚炎(かんぴしょうせいひふえん)
手湿疹、主婦湿疹(てしっしん、しゅふしっしん)
乳児湿疹(にゅうじしっしん)
自家感作性皮膚炎(じかかんさせいひふえん)
膿痂疹性湿疹(のうかしんせいしっしん)
乾燥性湿疹(かんそうせいしっしん)
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)
接触皮膚炎(せっしょくひふえん)
急性湿疹(きゅうせいしっしん)
慢性湿疹(まんせいしっしん)
汗疹性湿疹(かんしんせいしっしん)
異汗症性湿疹(いかんしょうせいしっしん)
おむつ皮膚炎(おむつひふえん)など、
順不同でたくさん書きましたが、どれも全て、湿疹、皮膚炎であることには、間違いありません。