あなたと、あなたの病気を、切り離して考えては、だめ。
あなたがいるからこそ、あなたの病気があるんだし、あなたの病気があるからこそ、あなたがそこにいるんです。
これを忘れると、病気が治らなくなってしまいます。
この広い世の中に病気になりたいと思っている人は、まずいないでしょう。
でも、病気にならない人は、いません。皆、病気になります。
何故だか?考えたことがありますか?
病気には、皆それぞれ意味があるのです。
仕事を頑張っている人が、風邪を引いたら、それは、そんなに無理しないで少しは休みましょう、という意味。
学校に行って、勉強している学生さんが、蕁麻疹ができたらそれは、体のバランスがちょっと崩れているよ、という意味。
家庭にいる奥様に、湿疹ができてきたら、それは、毎日毎日の家事、子育てに疲れているのかもしれないから、ちょっとさぼってみましょうか、という意味。
営業の仕事をしている人が、円形脱毛症になったら、それは、プレッシャーを感じすぎ、他人の顔色を見すぎているので、もう少し、マイペースでやったらいいんじゃないですか?という意味。
一概には言えませんが、こんなふうに、です。
皆が皆、違う人生を生き、違う道を歩いているのですからアドバイスも考えることも変わってきます。
皆一人一人、違うのです。大事なことは、自分と自分の病気を切り離さないで考えられるかどうか、です。
この場合の「自分」とは、自分の考え方、自分の性格、自分の生活パターン、自分の趣味、自分の食生活、自分の仕事、要するに自分のすべてです。
今まで、自分で良かれと思ってやってきた、その結果、病気になっているんだ、ということ。誰のせいでもありません。
私たち人間はみんなこうして病気になり、自分を少しずつ修正しながら、健康になって頑張っているのです。
そして、また病気になり、健康になり、を繰り返していきながら人生を送っているのです。
言葉で書くと、なるほど、と簡単に納得してしまうかも知れませんが、いざ、自分が、となるとなかなか難しいものがあります。
どこが難しいか、わかりますか?
「今まで、自分で良かれと思ってやってきた。その結果、病気になっているんだ、ということ。」
これを納得するのが、一番かつ非常に難しい。
僕が外来で、患者さん相手に苦労しているのは、実はここなのです。
ここの所を突っ込もうとすると、ほとんどの人は反発します。それはそうでしょう。
だって、自分の良かれと思ってやってきたことを、多かれ少なかれ否定されるわけですから。
ゆっくりでいいのです。患者さんは皆、わかっているのです。
でも、わかりたくないのです。そこに原因があることを。
ゆっくりいろいろと自分のことを考えていけばいいのです。
「病気を治すのに焦りは禁物」とは、こういうことです。
どんな人のどんな病気も、治る可能性は充分にある、と信じていて下さい。ポイントはどういうやり方をするか、です。